パップ ワインズ
PAP winesは、ハンガリー西側の内陸部Szent György-hegy(セント・ジョルジ山)という火山の麓にある小さな村ヘキマガスにあるガレージワイナリー兼レストラン。Aron Molnár / アーロン・モルナールと Karina Vissonova /カリーナ・ヴィソノヴァがワインへの情熱と自然への調和を求め2013年にワイナリーを設立。彼らの目標は小さなワイナリーを継続していく事と偽りも無く、自然でピュア、真実のワインをボトルに詰める事が目的。
ロンドン出身のアーロンとラトビア出身のカリーナが出会い、このワイナリーは誕生しました。アーロンはロンドンにある人気のある2つのハンガリー・レストランでシェフをしていました。そんな中、料理の修行のため、ロンドンを離れ、中東や地中海、そして、北インドで約5年間、料理や文化を学びそして、彼は30年前にフランス・ブルゴーニュのワイナリーでワイン作りを学びます。
そして、彼がデンマークに住み、DJをしていた頃、学業でコペンハーゲンにきていたカリーナと出会います。二人は恋に落ち、スカンジナビアに長年共に過ごした後、アーロンのルーツであるハンガリーに定住する事を決めました。
彼らが購入した土地の周りは、ワイナリーが多く存在し、アーロンはフランス時代の経験を活かし、ボランティアでワイナリーの手伝いを始めます。彼らは平穏で自然と調和した暮らしを求め、セント・ジョルジ山での生活を決めましたが、素晴らしい葡萄畑やワイナリーに囲まれた環境を見て、ここで生活するにはワインを切り離すことができないと感じたため、自然と葡萄畑とワイン作りに夢中になっていきました。
その後趣味で自分達のワイン作り始めましたが、2017年辺りから、自然と周りから新規新鋭のワイナリーと注目され、それ以降、独自のナチュラルワインスタイルの開発に没頭してくことになりました。“PAP”というワイナリーの名前は、アーロンのDJネームである“Papa Aron Pince/ パパ・アーロン・ピンス”から略語となり、頭のPAPをつなげ”PAP wines“というワイナリーネームになりました。
彼らは、2018年から清澄や濾過と同時に亜硫酸の添加もやめました。また当時成長していたナチュラルワインコミュニティに刺激を受けただけでなく、0/0のワイン造りのアプローチは、彼らが生活する場所を、より良い環境状態で、後世に繋げられること、また彼らは “どんなことにおいても、純粋で本物を表現する”という彼らが考える人生の哲学と一致した為、自然と介入の抑えたワイン作りに入り込んでいきました。
セント・ジョルジ山の玄武岩の豊富な火山土壌、Balaton(バラトン湖)に面した斜面や生物多様性が葡萄畑を構成しており、火山の南と南東に4.8haの畑を所有し、ビオディナミ農法による介入の少ない方法で葡萄を育て、手摘みで収穫しています。
年間約8,000本のワインは、製造プロセスにおいても人的介入を最小限に抑えて作られており、亜硫酸塩は0もしくは、ごく少量のみ使用するのみで、ワインはオーク樽とアンフォラで澱とともに熟成され、無清澄、無濾過にて瓶詰めをしています。彼らのワインは全て、火山性ミネラルと塩分の微妙な香りを感じられます。これはセント・ジョルジ山によるテロワールの現れで、火山ワインの特徴となります。
また料理人でもあるアーロンは、住居とワイナリーに併設されている庭で小さなレストランを営んでします。キッチンのコンセプトはシンプル。フランスの田舎料理からインド、日本の屋台料理まで、多くの文化の伝統的で、「タパス」や「居酒屋」で提供されるようなみんなで食べ物をシェアするスタイルで提供し、彼らのレシピは旅行、友人や家族から集められ、豊かで美味しい料理を作るという愛情込めたレシピで形成されています。
デザインについて:彼らの独特なラベルやデザインは、元々、グラフィックデザイナーだった、今は亡きアーロンの父István Molnár / イシュトヴァーン・モルナール氏の作品。まず、ロゴにも使用されているのは、ムクドリ。ベリー系の果実が大好きな鳥で葡萄を食べ尽くすため害がある鳥ではありますが、あえてモチーフとして利用しているとの事。その他に「Don't tell mama」と「Rabbit's Foot」のラベルも父親の作品。そして、OR(e)やTUFFなどのグラフィックデザインはカリーナが手掛けています。
カベルネ・フラン
フランス原産の黒葡萄品種でその起源はバスク地方で知られている品種と関連があるとする研究がある。
カベルネの語源は、おそらくラテン語のcarbon(炭素)からきており、これはその濃い色を意味します。他の黒ブドウとブレンドされることが多いですが、単一品種のワインもあります。ハンガリーでは重要な高品質品種になっています。
<ブドウの特徴>
比較的早い芽吹きと成熟。規則的な形の葉。緩く枝分かれした長い円筒形の房が特徴で収穫量が多い品種です。
<栽培されている場所>
フランスのボルドーとロワール、アメリカでよく見られます。国際的なワイン文献でこの品種について議論する際には必ず、ハンガリーのヴィラーニワイン地区について言及しています。石灰岩と黄土の組み合わせ、そして暖かく雨の多い気候はこの品種にとって非常に好ましい条件である。
<味わい>
この品種は力強く芳醇なワインを生み出します。カベルネ・ソーヴィニヨンほどタンニンや色素は多くありませんが、それでも黒系や赤系のベリーの風味、スパイスの香りがします。ワインライターのオズ・クラークは、この品種を「ラスベリー、ピュアな湧き水で洗われた小石、そしてブラックカラントの葉の爽やかな香り、紛れもなく食欲をそそる風味」と評しました。鉛筆の削りかすを思い起させるその冷たさと芳香に加えて、ブラックベリーとラズベリーが支配的。
ツヴァイゲルト
この品種の育成者でありその名の由来となったフリッツ・ツヴァイゲルトは、1922年にオーストリアのクロスターノイブルクでケークフランコシュとザンクト・ラウレントを交配してこの品種を作り出しました。ハンガリー西部ではよく知られています。
<ブドウの特徴>
早咲きで成熟するスピードは中程度。比較的丸く、わずかに裂けた葉と中程度の大きさで密集した房があり、各房に濃い青色の果実が大量に実ります。
<栽培されている場所>
オーストリアで最も広く栽培されています。チェコ共和国やスロバキア、その近隣諸国、ハンガリーでも栽培されています。若いうちは鮮やかなルビー色でスパイスや赤いベリーの香り、柔らかいタンニンのある飲みやすいワインですが、年月が経つにつれて、深みと甘くスパイシーな香りが生まれます。ブレンドにもよく合い、ケークフランコシュや他のタンニンの多い品種とブレンドする人気パートナーです。
<味わい>
チェリー、サワーチェリー、プラムなどの赤いベリー系の香り、そのあとにパプリカのようなスパイシーさが続きます。ワインは通常、フレッシュな酸味、中程度のタンニン、ボディ、アルコールが特徴です。若いうちは濃い紫色をしています。高級ワインは樽熟成されることもあります。
<ペアリング>
ツヴァイゲルトは、食事ととても相性がよく、ロゼや軽めのスタイルの赤ワインはトマト料理、パスタ、ピザ、グリル野菜、肉のキャセロール、ラグースープ、ハンガリー風スープ、特にスパイシーな魚のスープとよく合います。
よりコクのある熟成したツヴァイゲルトは、パン粉をまぶしたレバーや刻んだレバー、ロースト肉、ミートローフ、鹿肉のシチュー、ローストした鹿肉と相性がよいです。
ツヴァイゲルトから造られたワインの風味と食感に最もよく合う食材には、根菜、キクイモ、キノコ、ビーツ、ナス、トマト、熟成チーズ、ガチョウ、アヒル、ジビエ、内臓、豚肉、子牛肉、羊肉料理などがあります。
ピノ・ブラン
19世紀にブルゴーニュで認められたピノ・グリの突然変異種。
<ブドウの特徴>
芽吹きと成熟が速く、比較的収量が多く、実が小さい。暖かい土壌を好みます。中くらいの大きさの葉、密集した房、薄い皮の果実が特徴です。
<栽培されている場所>
世界中で栽培されている。オークとの相性がよいニュートラルな品種でフルボディで凝縮燗があるわけではないが、生産者と消費者の両方から愛されている。
<味わい>
シャルドネにスタイルが最も近いが、その深み、複雑さ、豊かさ、ボディを完全に再現することはできません。同時にフレッシュでフルーティーな香り、青リンゴ、黄リンゴの香りがあり、オーク樽の熟成にも適しています。ニュートラルな特徴は、テロワールを反映するのに向いています。オイリーな質感に加え、火山性土壌ではある程度の複雑さがあり、場合によっては熟成に適したワインになることもあります。
<ペアリング>
冷涼な地域で早摘みされるピノ・ブランは、スープ、煮込んだ野菜、シンプルな肉料理、サラダ、クリーミーなパスタ料理とよく合います。温暖な地域で生産される高品質でアルコール度数の高いピノ・ブランはバリックでの発酵と熟成に適しています。その結果、より濃厚でコクのある芳醇なワインが生まれ、トーストの香りが漂います。クリームスープ、ミートローフ、肉のグリルやフライ、スパイスをたっぷり使ったボリューム感のある料理にもよく合います。
ハンガリー ヴェスプレーム
ハンガリーの西部に位置するヴェルプレーム県。ブダペストの西南西およそ110キロの場所にあるハンガリーの古都です。県の南端にはハンガリー有数の観光地であるバラトン湖があります。
ヴェスプレームでは、夏は暖かく、冬は非常に寒く、降雪が多く、年間を通じて一部曇りです。1年を通して、気温は-4℃から26℃に変化しますが、-11℃未満または31℃を超えることは滅多にありません。
ヴェスプレームにおける1年の最も晴れが多い月は7月であり、曇天が多い季節は10月から5月の約7カ月続きます。
より降水が多い季節は、4月から11月、より乾燥する季節は11月から4月です。