カーサ・バラゲール
葡萄畑の歴史は古く、カタルーニャ州・バラゲール村から仕事を求め移住した移民が立ち上げたのがきっかけで1750年に設立。Casa Balaguerは、Casa=家、Balaguer=地名、「バルゲールの家」という意味を持っています。65年前よりオーガニック・ワイン造りを始め、現当主である”Andres Carul / アンドレス・カルル”と彼の妻 “Marta Ribera/マルタ・リベラ”が引き継ぎ、3代目となります。
元々、アンドレスの家族は、何十年とアリカンテにてブドウの栽培やワイン造りに携わっており、アンドレス自身も小さい頃、お祭りの時にこっそりワインを飲んだり、祖父母や両親について行って剪定や収穫手入れなどを手伝ったりしており、幼少期からワインに対して強く興味を持っていました。彼は2008 年にボルドーを訪れた際、自然派ワインに出会い、テロワール、伝統、正直でピュアなワインに一気に魅了されました。
一方、彼の妻のマルタは本拠地であるビリューナの葡萄栽培の家族の中で育ちました。生物学者の資格を持ち、情熱的な動物愛好家であるマルタは、動物と同じように植物にも大きな愛情を持っています。彼女は2004 年にバレンシア大学でワイン学の研究を修了し、色々なワイナリーでの研修で様々な経験をする中、アンドレスと出会い、同時に自然派ワインの世界にも恋して惹かれていきました。
そうした中、彼らが受け継いだワイナリーは、初代からの哲学で、ワイナリーへの人的介入を可能な限り少なくして、高品質のワインを生産することを目的としていました。そして20 世紀後半、スペイン・ナチュラルワインでの伝説的人物 “Rafa Bernabe / ラファ・ベルナベ氏が中心となり、畑とワイン造りは守られてきましたが、彼が病にかかった際、国際的に彼の畑の買収の話が多く出る中、ラファ氏は、3年間ともに働いたことがあるアンドレスに、彼の情熱と経験を託し、彼らにワイナリーを引き継ぐことを決意しました。
アンドレスが引き継いだ畑は、トータル面積58ヘクタール。その内、彼らは現在20ヘクタールをビオディナミ農法に転換し終え、そして、そこから、畑や醸造過程で亜硫酸など添加物を一切使わないワインを生産しています。
彼らの引き継いだ畑は山側のエリア“Villena / ビリューナ”と海側のエリア“La Mata/ラ・マタ”の2つに分かれています。
山側のビリューナは海から50キロ離れたアリカンテ内陸部にあり、カーサ・バラゲールの本拠地。樹齢30〜80年で面積40ヘクタール。標高650~750メートルで、石灰質土壌で地中海の影響を受けた大陸性気候となり、モナストレル、シラー、アリカンテ・ブーシェなどが育っています。
また海側のラ・マタは、自然公園内にある 18 ヘクタールのユニークな葡萄畑、また海抜ゼロメートルの温帯気候で、海からの影響で塩分の特徴が強い砂質土壌。マルヴァジアとモスカテル、マエルセゲラなどが育てられています。
畑とワイナリーに大きな歴史的背景があり、テロワール、伝統を守り、そして、彼らの新しい意思や哲学を交え、人的介入を抑え、昔ながらの古くも新しい自然なワイン造りを目的とし、ビオディナミ農法の厳格な原則の下で生産される最高品質の葡萄作りを最優先としています。アンドレスとマルタはともに、畑、醸造において、妥協無く、細心の注意を払い、理想とするワインとまたその持続可能な葡萄栽培、そして健康的なワイン造りを心がけて日々、仕事に取り組んでいます。